宇宙ロケットに必要なコンポーネントの大量生産を目指す MJOLNIR SPACEWORKS(ミヨルニア・スペースワークス)は10日、インキュベイトファンド、UntroD Captal Japan、三菱UFJキャピタルを引受先とする第三者割当増資および J-KISS 型新株予約権の発行により、シリーズ A ラウンドで約3.1億円を調達したと発表した。これにより、同社の累計資金調達額は約4.5億円となった。
先進国だけでなく新興国でも宇宙の利活用が活発化している昨今、人工衛星や宇宙輸送機などのペイロードの打ち上げ需要がますます増える一方、ロケットの打ち上げ数が不足し、コストの高止まりが課題として指摘されている。
そこで MJOLNIR SPACEWORKS は、独自技術を活用した「ハイブリッドロケットエンジン」と「無溶接タンク」の開発・提供によって、ロケットの大量生産の実現を目指している。
同社が開発するハイブリッドロケットエンジンでは、プラスチック燃料と液体酸素を燃焼させて推進力を得る方式を採用。従来の液体ロケットエンジンは構造が複雑で開発・製造費が高くなり、長い製造期間を要していたが、ハイブリッド方式はシンプルな構造で量産と低コスト化が可能としている。
燃えにくいプラスチック燃料を使用するため爆発リスクも低く、運用時の安全管理のコストも抑えられる。これまでに、ハイブリッドロケットエンジンでは困難とされていた40kN級プロトタイプエンジンの地上燃焼試験に成功している。
MJOLNIR SPACEWORKS のもう一つの強みが、無溶接タンクの製造技術だ。従来の宇宙用タンクは溶接が必要で、溶接部の強度低下や欠陥のリスクがあった。同社のタンクは独自の工法で溶接部をなくすことにより、品質が安定し、短納期・低コストでの提供を実現している。
今回調達した資金をもとに、同社はハイブリッドロケットエンジンシステムと無溶接タンクの開発・販売を加速。海外を含む宇宙関連企業への大量供給によって、世界の宇宙開発・宇宙利用の発展に貢献していく。
via PR TIMES